汚染された魚は、安全が担保されない?

「人間にたまっているPCBは、その大半が魚に由来している」

1975年に発刊された「化学物質と人間(磯野直秀著)」にその文節があります。

1960年代~70代の日本では、現代ほど物流網が整えられておらず、漁民は魚を中心とした食生活を送っており、都心に暮らすサラリーマンや農民に比べPCB濃度2倍~3倍の数値が出てきたことなどから、そのように結論付けております。

さらに厚生労働省の調査では、「食品分析値」と「食品接種量」から計算し、90%が魚に由来していると結論づけております。

つまり、魚さえ摂取しなければPCBに汚染されることは、ほぼないとされることでしょう。

ところで、皆さんは、魚を食べますか?

近所には、お寿司のチェーン店

スーパーではいつでも新鮮な魚を手に入れられるようになりました。

ネットショップでは、現地直送で注文してからわずか、1日で魚類が届けられます。

前述した通り、1960年代~70年代は、物流網が整えられていなかったこともあり、良く言えば魚の地産地消の文化が根付いておりましたが、今では、漁民であろうがサラリーマンであろうが、ほぼ平等に手に入れられるような便利な世の中になったのです。

ですから、「魚を摂取している量が多いのが漁民」とは言えなくなり、

単に魚が好きでたくさん食べるとか

スーパーの消費期限寸前で安くなるものを狙って買う魚の量が多いとか

個人的なニーズによるところが強くなったのです。

1970年代のPCBの汚染は、汚染源と漁民を紐づけした分布図で示すことが出来ていたため、対策がしやすかったですし、透明性が保たれることでPCBを扱っていた工場も無害化に向けて努力し続けられました。

実際、そのおかげで大量にPCBの無害化に成功しています。

今、現在では過去のPCB工場の分布図は残るものの、人の汚染状況については調査できずにいます。漁民を調査したところで、魚嫌いで食べない漁民の方もいるかもしれない世の中なのです。

つまるところ、誰がどこの魚を食べているか調査し、PCBの汚染状況を分析する事は、もはや不可能なのです。

そもそも、人がPCBに汚染されている状況になったうえで、成り立つ調査もいかがなものかと思いますが、その前提が無くなったことは、良かったことなのかもしれません。

そうなりますと、PCBの汚染状況は、実際に魚を調べるしかないのですが、これもなかなか困難を極めます。

河川なのか?

湖沼なのか?

海なのか?

海でも内海内湾なのか?

遠洋沖合か?

さらに、困難なのは、魚が汚染されているのはPCBに限定されないということです。

水銀や鉛などの重金属系やその他ダイオキシンなどの化学物質への汚染もPCBと合わさることで、どのような化学反応を起こしているかさえも分らない状況なのです。

釣った魚をかなりの頻度で食べているんですが、、

さらに最近問題視されている海洋に投棄されたマイクロプラスチックは、PCBに吸着しやすいという報告もあります。

化学物質は通常30年~40年かけて自然にかえっていくとも言われていますが、PCBの調査が限定的で現状、魚類の安全性が担保されないなら、海洋の汚染対策を徹底させていくしか方法が無いのかもしれません。

参考リンク

東京都健康安全研究センター/魚介類中のPCB含有量実態調査(平成21~25年度)

http://www.tokyo-eiken.go.jp/files/archive/issue/kenkyunenpo/nenpo65/ze-sakai.pdf

東京都福祉保健局HP(平成30年度)

https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/osen/02_pcb.html

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